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『手数料が高いからキャッシュレス決済は導入しない』というミスジャッジ

他の業界と同じように飲食業界も人手不足の解消に向けて色々な角度から省人化を検討していることと思います。この労働力不足を補うにはやはり業務のデジタル化を進める他ありません。今回は、飲食店の決済方法の一つであるキャッシュレス決済の費用対効果について考えてみようと思います。

『キャッシュレス決済後進国』ニッポン

先進国の中でも非常にキャッシュレス決済の採用率が低い日本ですが、これは諸外国に比べて偽札が少ないということが背景にあるようです。しかし、キャッシュレス決済の導入が進んでいる海外では、それが当然になっており、日本人が海外にいった際に、現金を出そうとしたら本当に嫌な顔をされたという経験がある人は少なくありません。
記憶に新しいところで言えば、東京オリンピックまでの1年間、政府がキャッシュレス決済の手数料の負担を肩代わりするなど導入率を海外の水準に引き上げる努力をしていました。
この1年間でかなりキャッシュレス決済の導入は進みましたが、これから数年でさらに導入率が上がっていくでしょう。

キャッシュレス決済にはどんなものがあるのか?

一口にキャッシュレス決済と言っても様々な種類があります。特に近年ではその数が膨れ上がっていますので、ここで一度整理してみましょう。
キャッシュレス決済は主に以下の4つになります。
・クレジットカード
・QRコード
・電子マネー(交通系ICを含む)
・デビットカード

そしてこれらの決済方法は、これまでそれぞれのカードやアプリを使用して使い分ける必要がありましたが、ここ数年の間にスマホで全てを利用することができるようになり、その利便性が向上しています。
つまり種類が増えてはいますが、ユーザーの意識としては、スマホの設定さえすればたったひとつの便利なアイテムをややこしくなく使用できることになります。
これからは高齢者にもやさしい決済方法になっていくでしょう。


キャッシュレス決済のメリット

この決済方法を利用することで、利用客とお店側の双方に大きなメリットをもたらします。

■利用客のメリット
・財布の残金を気にしなくていい
・お金を下ろすという手間がなくなる
・支払いが一瞬で終わる

■お店のメリット
・レジ金の精算が楽になる
・釣り銭の用意のための両替が減る
・釣り銭の渡し間違いが減る
・会計時の対応時間が減る
・手持ちの現金がないという顧客を取り込める

この辺りが大まかなメリットになり、皆さんもその恩恵を感じていると思います。
特にお店側では、これらのメリットによりスタッフの省人化を進めることができるのは大きなポイントとなってきます。

お店の店長がレジの精算をするのに1時間を要するようなお店がまだ存在しますが、キャッシュレス決済の導入で半分の30分で済むようになったという事例は多くあります。精算時間が短縮できた30分をアルバイトに任せている業務にあたれば、人件費はカットできます。その30分はほとんどが深夜時給の時間帯なので、時給1,100円の深夜時給は1,375円、30分で687円となります。
687円✖️営業日数30日=20,610円
という計算になり、これだけでしっかりと2万円の利益が残ることになります。

キャッシュレス決済のデメリット

・手数料を取られる
・レジ周りが煩雑になる
・決済作業を覚えるのが大変
・機械を導入することがお店の雰囲気と合わない

多くの経営者が気にするのがこのキャッシュレス決済の導入による手数料です。これは確かに少ない金額ではありません。

売上の3.24%っていくらですか?

売上全体のうちのキャッシュレス決済金額の割合は来年には平均40%に達すると言われています。この数字で計算すると月商300万円の場合、そのうち120万円分がキャッシュレス決済となります。その手数料は3.24%が一般的な数字ですので、3.24%で計算すると約39,000円となります。
※最近では一部の決済が1%台になっています。

その金額を払う代わりに得るものは

しかし、ここで考えてみてほしいのは、その出費となる39,000円をはるかに超えるメリットがあり、どう考えても導入した方が得であるという点です。この結論に至らないようでは経営能力があまりにとぼしいのです。
※以下の計算は1時間あたりの人件費を1,100円として計算しています。

  • お会計時の時間の短縮
    1分✖️ 1日の会計回数30回✖️30日=15時間=16,500円
    お客さんがお金を数えて出す時間、店員が確認する時間、お金を落として拾う時間がなくなります。
  • 渡し間違いよるレジ違算の減少
    30分✖️ 10日=5時間=5,500円
    金銭の数える時間の減少は時間だけでなくスタッフの精神的な負担も軽減します。
  • 釣り銭のための両替に要する時間
    30分✖️月4回(週に1回)=2時間=2,200円
    両替手数料330円✖️4回=1,320円
    銀行の両替受付時間が短いことから、この業務は大きな負担となっています。長く待たされ、両替手数料がかかるのも問題です。2日に1度は両替に行く店舗も多いのでこの頻度が半分になるだけでも大きなメリットです。
  • 前述したレジ精算時間の減少
    687円✖️営業日数30日=20,610円 (毎日30分の時短)
    閉店時のレジ精算の際に、一番時間が取られるのは、レジ金が合わないことから原因を突き止める時間です。これは違算が減ることで大幅に短縮できます。レジ金が合わなくって店長が閉店後に残ってずっと計算しているといったことは本当によくあります

ここまでの計算でも46,130円分のプラスになります。
キャッシュレス決済の手数料である39,000円を超えてくる金額です。
そしてこの数値は、キャッシュレス決済の割合がまだ半分以下である現在の数値であり、今後さらにこの決済が増えればこの費用対効果は増加することは言うまでもありません。
また、キャッシュレス決済の導入により金銭的なメリットをどこに還元するかは経営者の自由となります。ここで省人化に向かうことだけではなく、常に疲弊してしまっているスタッフに精神的な余裕を持たせ、お客様とのコミュニケーションに時間を割いてみることで根本的な売上の増大を狙うこともできます。

社会全体で取り組むべき問題点

このように便利でいて、費用対効果も望めるキャッシュレス決済ですが、なかなか解消ができない問題点があります。それは高齢者の利用率の低さです。これは以前から問題視されていることですが、現金しか信じられないという心理的なものを訴える人はここ最近あまり多くありません。しかし、根強い問題点は、キャッシュレス決済に必要となるスマホの設定をすることやICカードなどの媒体を所有することがハードルとなっていることです。
この問題は、飲食店が高齢の利用者にICカードを持つことを勧めたり導入を手伝ったり、プリペイドカードを発行して金銭のやりとりを必要最低限にするなどの策が必要となってきます。このような取り組みは飲食業界だけではなく、社会全体で進めていくべき策だと感じます。
高齢者こそがキャッシュレス決済ができれば一番便利さを感じメリットが大きいという点にもう少しクローズアップするべきでしょう。

完全キャッシュレスという革命

そんな中、一部の飲食店では、『現金お断り』としてキャッシュレス決済のみで営業する店舗が出てきました。これは今の時点では大きな挑戦となっていますが、業態によってはそれほどの難はなく進められています。今後、一品料理を専門とした滞在時間が短くリズムの速い店舗では、常識となってくるはずです。完全キャッシュレスという経営体制は様々な飲食店の常識を変えていきます。銀行への入金や両替という業務がゼロとなり、精算時の違算も金銭の紛失と盗難もほぼゼロになってしまいます。これらのことから飲食業界全体は現金の取り扱いを限りなくゼロにする方向になっていくでしょう。

まとめ

ここまで述べてきたことから、限りなく完全キャッシュレスへ向かうべきであることに申し分はないと思います。それぞれの店舗のタイミングもあると思いますが時期をみて一歩ずつ進めていくべきでしょう。少なくとも導入すると覚えることが多くなると敬遠したりキャッシュレス決済のためのシステム内容を確認して検討をするといった行動を後回しにすることは、今後の店舗経営をとても不利にしてしまうでしょう。

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