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リピーターを増やす方法と顧客心理

近年、キャッシュレス決済が急速に普及し、私たちの生活に大きな変化をもたらしています。飲食店業界においても、キャッシュレス決済の導入は顧客満足度向上やリピーター獲得に役立つことから、多くの店舗で採用が進んでいます。しかし、現金払いとキャッシュレス決済のバランスを適切に保つことが重要であり、それぞれのメリットとデメリットを理解し、顧客のニーズに対応する必要があります。ここでは、現金払いとキャッシュレス決済の違いや、キャッシュレス決済を利用するユーザーの心理を分析し、飲食店経営者が取り組むべきポイントを検討していきます。

1. 飲食店におけるリピーターの意義

飲食店経営においてよく『8:2の法則』、『パレートの法則』が語られることがあります。イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱したこのパレートの法則は、「全体の80%の結果は、20%の要因によって生じる」という経済原理です。この法則は飲食店経営においてもリピーター獲得の重要性を示す指針となります。
飲食店経営においてパレートの法則を適用すると、売上の80%は、お客様全体の20%程度にあたるリピーターから生じると解釈できます。これはまさにその通りで、リピーターが飲食店の売上に大きく寄与することを意味し、リピーターの獲得と維持が経営の安定や拡大に繋がることを示しています。
パレートの法則を踏まえた飲食店経営では、顧客満足度の向上やターゲット顧客の明確化、顧客とのコミュニケーションがリピーター獲得に効果的な戦略となります。顧客が満足するメニューやサービスを提供し、顧客にとってそのお店でなければならない理由を作っていくことが重要な戦略となります。

2. 1:5の法則とは

また、パレートの法則のほかに『1:5の法則』も経営者として把握しておくべきです。
1:5の法則とは、新規顧客を獲得する労力とコストは、既存顧客に再来店してもらうための労力とコストの5倍を要するという法則です。これもまた、飲食店経営において重要な法則で、新規顧客獲得にかかる費用や時間を考慮すると、既存顧客のリピート率を高めることが、経営効率の向上や売上の安定に繋がることを示しています。
つまり、リピーターを囲い込むことが重要で、リピーターが飲食店の売上を大きく左右するということです。

3. 新規顧客をどうリピーターにするか?

お客様が初めて来店するきっかけやその時の熱量はさまざまですが、この初めての来店を次回の再来店に繋げるためにはどのような施策があるのでしょうか? 商品やサービスの満足度が高いことは最低限必要なことですが、ここでは、それ以外の方法を挙げてみます。

・ポイントシステムの導入
顧客が来店時にポイントを貯められるシステムを導入し、一定のポイントに達すると特典や割引が受けられるようにする。

・ハウスマネーの導入
店舗専用のプリペイドカードや電子マネーを導入し、顧客がその店でしか使えない通貨を購入・使用する。

・クーポン発行
初回来店時に次回利用時に使用できる割引クーポンを提供する。クーポンは限定期間で利用できるものにすることが効果的。

・会員証の発行
会員制度を導入し、会員限定の特典やサービスを提供することで、顧客が継続的に来店するインセンティブを与える。

・限定イベントや特典の実施
期間限定メニューやイベント、特別なプロモーションを実施する。

このような施策が挙げられます。また、これらの方法は、今や大企業だけのものではなく小規模事業や個人経営でも導入が可能になっています。お客様に『このお店はいつも行く自分の特別なお店』と感じてもらえるような施策を常に実施し、お店側の姿勢として『いつもきてくれるお客様を大事にしている』という気持ちがリピーター1人1人に伝わることがポイントとなります。

この施策を実行して、より効率的に運用していくには飲食店の業務を可能な限りDX化し、顧客情報を集めていくことが大切です。現在では、POSレジやセルフオーダーシステム、券売機などの設備が安価で導入することが可能でその普及率はどんどん高まっています。DX化を進めることでよりリピーターの囲い込みを大きく手助けすることになります。

4. 現金払いとキャッシュレス決済のバランス

東京オリンピック以降、さらにキャッシュレス決済の導入は進んでおり、現金は一切使えない飲食店も増えていますが、現金払いとキャッシュレス決済のメリットとデメリットを整理しみましょう。

キャッシュレス決済のメリット
・速さと利便性
スマートフォンやクレジットカードをタッチするだけで支払いが完了し、お釣りを待つ必要がない。
・衛生面
現金を触ることなく決済ができるため、感染症リスクを減らすことができる。
・経営効率化
現金の管理や釣銭の準備が不要になるため、労力やコストを削減できる。
・顧客データの収集
キャッシュレス決済を通じて顧客の購買履歴や嗜好を把握し、マーケティングやサービス改善に活用できる。

キャッシュレス決済のデメリット
・導入コスト  端末やシステムの導入に費用が発生。
・手数料  決済事業者への手数料負担が発生。
・システム障害  電子決済システムがダウンすると、決済ができなくなるリスクがある。
・高齢者の毛嫌い 一部の高齢者はキャッシュレス決済をいまだに避ける傾向にあり、現金以外の選択肢がない人も多いため来店の機会を逃す可能性がある。

現金決済のメリット
・汎用性  どのお店でも利用できるため、利便性が高い。
・万が一の際の対応  システム障害や停電時でも決済が可能。
・高齢者の心理 一部の高齢者にとっては、現金決済の方が馴染みがあり使いやすい場合がある。

決済のデメリット
・現金管理  現金を管理する手間やリスクがある。
・お釣りの準備  釣銭を用意しておく必要があり、時には不足することがある。

このようにまとめられます。
遠くない未来に現金を扱うことはなくなっていくと思いますが、現段階では現金とキャッシュレス決済の双方が利用できることがベストと考えられます。また、若年層などキャッシュレス決済になじみのある客層が大きな割合を占める店舗に関しては、現金払いしかできない顧客を諦めてでも、キャッシュレス決済のみにすることが最良となる場合があります。現金管理の労力やリスクがなくなった方が相対的にメリットが大きいのならば、思い切って『現金お断り』にすることも検討するべきです。

5. キャッシュレス決済に対するユーザー心理

キャッシュレス決済のユーザー心理は、現金払いの人といくつかの点で異なります。また、この心理を踏まえてキャッシュレス決済を実装した飲食店は、そのユーザーの目にどう映るのでしょうか?

・便利さへの重視
キャッシュレス決済を好む人は、支払いの手間や時間を削減できることを重要視します。また、スマートフォンやクレジットカードで一括管理できることも、便利さを感じる要因です。
・セキュリティへの意識
キャッシュレス決済を利用する人は、現金を持ち歩かなくて済むため、盗難や紛失のリスクを低減できると感じます。また、個人情報の保護や取引履歴の管理にも関心が高い傾向があります。
・ポイントやキャッシュバックへの期待
キャッシュレス決済を利用する人は、ポイントやキャッシュバックなどの特典を獲得できることを魅力的だと感じます。これにより、消費意欲が高まることもあります。
・テクノロジーへの興味
キャッシュレス決済を好む人は、新しい技術やデジタルサービスに興味を持っていることが多いです。デジタル化が進む社会に適応し、最新のトレンドを取り入れたいと考える傾向があります。
・環境への配慮
現金を使わずに済むキャッシュレス決済は、紙幣や硬貨の製造・運搬に伴う環境負荷を軽減できるという点で、環境意識の高い人に支持されています。

以上のような心理となっている顧客は、キャッシュレス決済を推進している飲食店を合理的で最先端の技術を取り入れて環境を配慮している優秀な店舗として認識してくれるでしょう。

まとめ

ここまで、現金払いとキャッシュレス決済のバランスを適切に保つことの重要性と、キャッシュレス決済を利用するユーザーの心理を検討しました。現金払いとキャッシュレス決済の両方を適切に取り扱い、顧客が利用しやすい環境を整えることが、リピーターを増やすことにつながります。今後も、テクノロジーの進歩や消費者のニーズの変化に対応し、柔軟な経営戦略を立てることが求められるでしょう。

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