Column

飲食業界の現状と課題と解決策

コロナ禍が遠い昔のように思われる今日、飲食業界はその衝撃から大きな変革を迫られました。その後、ウクライナ危機、円安、そして全世界的なインフレという新たな課題が待ち受けていました。この厳しい状況の中で飲食店を存続させるためには、現状と課題を明確に認識し、解決策を考案することが必要です。

円安と原材料の高騰

どの飲食店にとっても、食材の仕入れは生命線であり、店舗運営の最重要ポイントです。すでにコロナ前から漸進的に価格を上げていた食材のコストが、近年の円安と戦争の影響で驚くほどに急上昇しました。かつて原価率が低く利益を確保しやすいとされた「粉物屋」さえも、小麦粉や油の価格上昇により、もはや大きな利益を見込むことが難しくなっています。そしてこの現象は、円安が一度落ち着いたとしても、過去に吸収してきた様々なコスト増に対抗して価格を元に戻すことは難しいでしょう。結局、飲食店は当面の間、この原材料の高騰から逃れられないという現実に直面しています。

人手不足の深刻化

飲食業界が今年に入り、通常営業を完全に再開できるようになったものの、人手不足の問題は一層深刻化しています。特に、飲食店での就労を選択肢に入れなくなってきた若年層の減少が、業界に暗い影を落としています。さらに、円安の影響で外国人労働者が日本を選択する確率が低下し、人手不足の状況に追い討ちをかけています。観光地の飲食店では、インバウンド需要の増加に対して働き手が足りず、ランチタイムの営業が困難になり、週に2回の定休日を設ける必要が出てきています。また、都心のチェーン店でも、臨時休業をせざるを得ない店舗が増え、新規オープンを予定した店舗でさえも、人手が集まらずに開業を半年遅らせるといったやるせない状況になっています。

経営改革の緊急性

食材費の高騰と人材不足は、コロナ以前から徐々に問題になっていましたが、コロナショックはこれをさらに顕著にしました。この状況は、企業努力やスタッフのマンパワーだけで乗り越えることのできるレベルではありません。売上の3割が人件費、食材費も同じく売上の3割で、合計6割が「FL比率」とし、これをキープするという常識さえも見直すべきです。飲食業界のこの一般的な想定はすでに過去のもので、これが7割になっても収益を確保できる体制を構築しなければ、飲食店の経営は困難になるでしょう。
また、食材費の上昇と人件費の上昇に対抗してメニューの価格を上げられない現状も大きな問題となっています。理想的には、経費が増えれば、その分メニューの価格も上げることで利益率は維持できるはずです。しかし、価格を上げると顧客数が減少し売上が落ちることを恐れ、飲食店は価格上昇をためらっています。もし、経営続行が難しいほどの経費上昇があるのであれば、価格上昇を行っても顧客数が減らない施策を打つべきで、クオリティーを上げる努力をすることが正常な動きです。それがどうしてもむずかしいのであるなら、食材費や人件費を削る以外の方法で利益を確保しなければなりません。

デジタルツールの導入による労働力削減

検討するべき施策の一つとして効果的なのが、デジタルツールを徹底的に導入し、業務を合理化して人手を削減することです。つまり、人間が行わなくても良い作業は機械に任せるということです。デジタルツールを導入することで効果が大きいとされる飲食店の業務は3つあります。一つは予約管理業務、もう一つはオーダー管理業務、最後は給仕業務です。給仕業務のデジタル化は、まだ規模の大きい店舗やチェーン店だけのものにとどまっていますが、配膳ロボットが活躍し、人件費を大幅に下げています。そして、地味ですがスタッフの作業時間をごっそりと奪っていた予約の電話や予約台帳の管理、記入がデジタルツールによりかなり解消されるようになりました。3つの業務の中でも特に、セルフオーダーシステムの導入は、大きく店舗業務を改善します。来店時の案内、オーダーを取る作業、伝票を書き伝言する手間、追加注文や精算まで、一連の接客の時間を大幅に減らし、人件費を節約する強力なツールとなるでしょう。また、古くから一部の業態で利用されている券売機の活用も忘れてはならない要素です。これもお客様の協力を得て、スタッフの手間を削減し、低価格での提供を実現できます。これにより 月に20万、30万円の人件費が 浮いたという話は あちこちで起きています。
格安で一品ものを扱う飲食店のみが利用していた券売機ですが、このひどい人材不足の世の中で、蕎麦屋やラーメン屋だけのものである必要はないはずです。現在では 券売機の欠点だった後からの追加オーダーが入りづらいという点を解消できる、着席後、お客様自身のタブレットやスマホによるオーダーリング(後払い)が可能になっており、さらにキャッシュレス対応し、ビジュアルデザインのいい券売機が 開発され スタッフのオペレーションにも直結するようななくてはならないツールになっています。 今後は、導入する店舗が増えていき、『このお店も券売機なの?』と思うような飲食店が 増えてくるでしょう。

顧客体験の向上
デジタルツールは単に経費削減や効率化だけではなく、顧客体験の向上にも貢献します。例えば、セルフオーダーシステムを導入すれば、顧客は自分のペースで注文を行い、スタッフとのやりとりによる会話の中断や注文内容の行き違えを避けることができます。 また、店員の忙しさを気遣いお店の状況を考慮するといったことを避けることができます。これにより顧客満足度を上げ、リピート率を高めることが期待できます。

極度な戦略転換の必要性
飲食店は人と深く関わるビジネスであり、デジタルツールを導入する際にはその機械的な雰囲気を嫌う風潮があります。しかし、人手不足の深刻さと経費の上昇に直面しており、どんなお店でもデジタルツールを導入し、省人化を最大限に進めることが飲食店経営の新常識となるでしょう。それが困難な場合は、全ての接客と調理を人が行う、ほんのひと握りの超一流店を目指す他ないかもしれません。少し極端かもしれませんが、このように明確に方向性を決定し、店舗運営に臨むことが重要です。


まとめ

現在、飲食業界で語られている法則や公式は、大半が40年以上前にチェーン店が台頭した時代に作られた理論です。これらの常識はすでに時代遅れであり、コロナショック以前から変化を求められていました。これからの飲食店経営には、従来の常識を捨て、機械を積極的に導入して、人を中心とした運営から人と機械が協力する形の運営へ と転換するべきです。 このような情勢の中で今でも人と機械がうまく協力できないとすれば、その店舗は既に成功への道から外れてしまっているかもしれません。 この変革は当然ながら人件費を下げ、食材費を抑えるだけでなく、売上アップにもつながります。 オペレーションの効率化やサービスの向上によって、 顧客の満足度も上がり、そこからくるリピート客や口コミによる新規客の増加が期待できます。 この一連の流れは 今後の飲食店経営において非常に大きな影響を与えることでしょう。そのため飲食店経営者はデジタル化への抵抗心を捨て、これからの時代に合わせた運営スタイルを探求するべきです。 そうしなければ、これまでと同じように経営を続けることは非常に難しくなるでしょう。

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