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合理化の鍵を握る店内レイアウト

デジタル化などハイテクを駆使したツールを導入することで合理化を図るという打ち手を検討する店舗は多いことでしょう。しかし、合理化を進める中で初歩的なポイントとして意外に忘れがちなのは、店内のレイアウトがあげられます。これはいつの時代も一番重要なものです。便利なツールを導入する前に今一度、店内レイアウトを並行して再検証してみましょう。これによりデジタルツールとの相乗効果はとても大きくなり利益確保につながっていくはずです。

スタッフの動線の最適化でサービスを向上
飲食店で最も大切な要素の一つが「時間」です。オーダー受取から料理の提供までの時間は、お客様の満足度に大きく影響します。スタッフの動線を最適化することで、この時間を短縮し、より迅速なサービスを実現することが可能となります。

1.センタリングによる無駄な動きの削減
調理器具や材料をキッチンの中央部に配置することで、スタッフが必要なものを取る際の動きが最小限になります。例えば、鍋やフライパン、調味料など、頻繁に使用するものを手の届く位置に配置することで、作業の効率が大幅に向上します。また、作業効率だけでなく、センタリングはキッチン内の安全性も高めます。無駄な動きが減ることでスタッフ同士の衝突や商品や食材、調理道具の落下などミスや事故のリスクが確実に低減します。

2.小規模でも分業制を検討
一人のスタッフの業務をある程度限定すること、例えば「焼き物担当」や「揚げ物担当」として特化することで、その業務に集中し、質の高い料理を迅速に提供することが可能となります。たとえ一品ものを提供するラーメンやうどん店であってもある程度の規模をもって経営する店舗であれば、少しオーバーなぐらいの分業制にすることで合理化を図れるでしょう。店舗の調理作業の特性を把握した上で分業制の設計を検討してみましょう。

3.トレーニングの効率化
また、分業制により新人スタッフの教育も効率的に行えるようになります。ある程度限定された業務のみを担当することで、初めての業務でも短期間でスキルを習得できるようになります。これにより新人スタッフがその職場で勤務を続けるかを判断することの多い最初の2〜3日の職場の印象が向上することはお店にとってメリットとなります。
スタッフの動線の最適化は、飲食店のサービス向上だけでなく、スタッフの働きやすさや安全性の確保にも繋がります。これが、お客様の満足度向上にも寄与するのです。

作業効率を最大化するワークトライアングルの採用
飲食店のキッチンは、まさにサービスの舞台裏ともいえる場所です。そこでのスムーズな作業がお客様への迅速なサービスに直結します。特にキッチンの配置や調理器具の位置決めは、作業の効率性に大きく影響します。

1.飲食店のキッチンにおける三大動作
調理において最も頻繁に行われる動作は、材料の冷蔵から取り出す動作、料理の調理動作、そして使用した器具や食材の残りを洗浄する動作です。これらの動作をできる限り少人数でスムーズに行うためのキッチンレイアウトが求められ、これが利益確保の大きな要因となります。

2.三角形配置の利点
これらのことを考えると冷蔵・調理・洗浄の場所を三角形の配置にすることで、各ポイント間の移動が最小限になります。具体的には、冷蔵庫、コンロ(または調理台)、そしてシンクを三角形の頂点として配置します。これがワークトライアングルということになります。これにより、各エリア間の距離が短縮され、無駄な移動を減少させることができます。店舗物件の形状や環境によって達成が難しくても、極力この理想に近づけることが必要です。

3.空間の最大利用
このワークトライアングルの原則を取り入れることで、キッチンの限られたスペースを最大限に利用し、効率的な調理環境を実現できます。さらに、この配置を基に、その他のよく使う調味料や器具の位置が決まってくることになり、この位置決めが特に繁忙時の作業効率に大きな影響を与えることになります。
また、キッチンスタッフの働きやすさはもちろん、お店全体のサービス速度や品質の向上にも貢献します。飲食店経営者にとって、この原則は必ず知っておきたいキッチンの基本と言えるでしょう。

お客様の快適な店内体験のための設計
飲食店での最も重要な要素の一つが、お客様の動線です。顧客のストレスを最小限にし、快適な食事体験を提供するためには、来店から退店までのフローを最適化する必要があります。

1.エントランスの最適化
前払い制の飲食店に入店する時、顧客が最初に接するのは多くの場合、券売機です。そのため、券売機は直感的に操作ができる表示方法、迅速なレスポンス、そしてメニューの見やすさを備えている必要があります。これらの要素は、お客様の迅速な注文をサポートし、その後の動線をスムーズにします。

2.明確な指示に必要性
券売機などで購入が済み席に着こうとする時、スタッフが一人一人誘導するのが理想ですが、それが難しい店舗がほとんどでしょう。その場合は、お客様がどこへ向かうべきか迷わないように、明確なサインや指示板を配置することで、自然と席へと誘導することが可能になります。仮に常に『どこでも好きなところに座ってもらっていいや』と考えているのならば、その意思をきちんと『お好きなお席にお座りください。』と明記するべきです。お客様にそれを伝えなければ、多くの方が入り口でどうしようか一瞬迷うことになります。

3.席配置の工夫
店内の混雑や混乱を避けるため、席間のスペースを適切に確保し、テーブルと椅子の配置にも工夫が必要です。ファミリーや大人数のグループ用の席は、人があまり通らない奥や入り口から離れた席に配置し、大人数の人たちが通路を長時間塞ぐことがないようにしましょう。逆に1名様の多いカウンター席などは、スタッフの作業スペースの近くや人通りが激しい通路の近くでも支障が比較的少なくなります。テーブルの組み合わせや移動も考慮するとよいでしょう。

4.お客様がトイレに行く時の影響
ほとんどの経営者はお客様が入店する際と退店する際(お会計時)の動きに関しては何度も検討を重ねており、その配慮は行き届いています。しかしよく忘れてしまうのが、トイレへの動線です。忘れていなくても、このトイレへの動線を軽視している場合が多いのです。確かに、トイレを利用しないお客様も多いかもしれませんが、気をつけるべきは、通常の動線と逆方向の場合が多く、たまにしか利用する人がいなくても他の動線に大きく影響することに注意するべきです。特にお子様連れのお客様が多い店舗はより配慮するべきでしょう。配管の位置などでトイレの配置を限定されることも多く、トイレを移設するには多くの工事費用がかかることから妥協することもあると思いますが、できる限り、動線を考慮した上で配置してみましょう。

まとめ
アフターコロナの流れからテイクアウトの需要や省人化により券売機や精算機を導入する店舗もかなり増えて来ました。この際に障害となっているのが、その機材を設置するスペースの問題です。しかし、最近では極限まで省スペースで設置できる機材を選ぶことができます。これまで『うちは狭いから』といった理由で検討さえもしなかった店舗は最高するべきでしょう。最新鋭のものでは壁掛けが可能なモデルもあり、技術革新は思っているより進んでいます。
そして、デジタル技術による作業効率アップと相変わらずアナログになりますが店舗設計をする時に何度もイメージしてシミュレーションすることは重要です。この大きく二つに分けた作業が大きく合理化を進め、省人化したビジネスモデルとなり利益の確保に繋がります。ぜひ参考にしてください。

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