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飲食業こそ取り組むべきSDGs 〜食品ロスへの対策〜

家庭での食べ残しよりも飲食店をはじめとする食品産業で廃棄された食品が圧倒的に多いことから大きな社会問題となっており、実に食品ロス全体の量の7割以上が食品産業業界から排出されています。
コロナ禍以降、 食品衛生管理に関して世の中の意識が高まったことから自主的に衛生基準を引き上げた企業も多く、企業のコンプライアンスに対する考え方もとてもシビアになり、食品ロスに対する大きな有効手段はまだまだ足りていない状況です。

料理提供前の食品ロス対策
特に飲食業界では 大きく二つに分かれた性質の食品ロスがあります。
一つ目は、お客様に出される前の食品ロスです。そしてもう一つは、お客様に料理として提供された後の食品ロスになります。

まずは、お客様に提供される前の食品ロスの対策として、調理前の仕込み済み食品と食材の在庫状態での管理の徹底が挙げられます。消費期限を考慮した、こまめな食材の仕込みを徹底すること、そして、まとめ買い・ロットの大きい仕入れを極力回避し、小分けにした発注管理をすることにより、適正な在庫状態を保っておくことです。

真空包装による食品の保管
これまで真空包装機というのは、非常に高価なものであり大企業でなければ導入は難しいと考えられていました。しかし、近年では比較的安価であっても性能の良い真空包装機が 存在するので、この設備の導入を検討するべきでしょう。 業者から納品された農畜水産物や加工食品を一度に使いきれる量に小分けし、真空包装することで劣化して廃棄するまでの期限を大幅に引き延ばすことができます。また、真空包装後に冷凍することで、食品によってはさらに期限を伸ばすことができる商品もあるので、必ず一度は導入の検討をしてみましょう。

規格外の農産物を積極的に利用する
農産物の形や色などは重要ではなく、ソースやだし用の食材として利用することが家庭の数倍以上あるのは飲食店の特徴でもあります。
したがって飲食店においてはJAでは規格外となるような見た目の農産物でも充分利用することが可能です。 これを積極的に利用することで食材そのもののロスを減らすことに協力することができます。 料理や仕込み済みの食品だけでなく生産者に協力することも食品ロス対策の一端となります。

メニュー構成の再考
また、お客様に食品ロス対策のため協力してもらえるように飲食店側が準備することも有効な打ち手となります。まずふれておきたいのはセットメニューの提供が、食べ残しを多く引き起こしていることです。定食やランチのセットで、ご飯、味噌汁、おしんこ、サラダ、おかず、一口デザート、お茶といった商品の中で、『コレいらないんだけどなぁ』とお客様が感じることは多くあります。客単価を上げるために不要な料理をセットに含めてオーダーしてもらうことで客単価を上げて不満を抱かせるよりも、食品ロスを減らすことで食材費を低減することが順当な経営対策といっていいでしょう。
この対策を徹底することで食品ロスも着実に減り業績改善も期待できます。

この対策としてはそれぞれのお客様に食べられる料理を食べきれる量だけ注文していただけるようにメニュー構成を設定することが必要になります。そのためのメニュー構成を考えることが必要になり、ご飯などを含む料理の量をお客様自身が細かく決め、また、アレルギーや好き嫌いで食べることのできない食材が料理に入っているかどうかを事前に確認できることが必要になります。

日本独特の慣例
飲食店で 最近、食材ロスに関してよく話題にされることは以下の3つです。
・大量のお酒が残されて捨てられている『飲み放題』
・必要のない人もいる無料のお茶
・食べる気のないお通しの一品

このようにお客様が必要とする食品と提供する食品とのギャップによって生まれている食品ロスが多くあります。この3点は世界的にみても稀なサービスだと言われています。宴会やパーティー需要も少なくなってきたことも考え、一部の飲食店では飲み放題をとりやめたり、無料のお茶などの提供を取りやめるというような動きも出ており、これからその傾向はさらに加速して行くことでしょう。これを契機にこういったこれまでの常識さえも改めてみる必要があるでしょう。

料理提供後の食品ロス対策
料理を提供する前の食品ロス対策をやり尽くしたのならば食品ロスは一定量減らすことができますが、さらに徹底できるように次に提供後にできる対策を考えてみましょう。

宴会での食べ残しアナウンス
日々の営業の中でも3名以上の会食やパーティーは食品ロスが発生することが多いです。 この原因としては、親密な関係でない者同士の会食により、互いの遠慮があること、また食事に集中できないような企画などが食事中にあり、食事に意識がいかないことが原因とされています。
この対策としては、お客様同士の食べ残しの料理に対する声の掛け合いなどは期待せず飲食店のスタッフが『 次のお料理が来ますので、こちらの料理を取り分けていただいてもいいですか?』 といった声かけをするだけで相当量の食べ残しを減らすことが可能です。 とても地味な作業になりますが圧倒的な効果があると言っていいでしょう。

テイクアウトをしやすい環境を整える
どうしても余ってしまった料理を持ち帰っていただき家で消費してもらうことを促進することが食品ロスにつながります。『食べ残した料理はお持ち帰りできます』といった表示を各客席に設け気軽にテイクアウトができるような環境を整えてお来ましょう。しかしこれには食中毒のリスクを考慮する必要があり、お客様のテーブルに出された料理が生ものでなくても長時間放置されたり、持ち帰り途中の環境が高温多湿だったりする場合、リスクは上昇してしまいます。
このテイクアウトに関してはお客様の自己責任であることを理解してもらうことも必要であり、リスクの高いものはお断りをするなどのルールの設定が必要です。

デジタルツール導入による食品ロス対策
食品ロスの対策として調理段階や料理の提供段階に改善ポイントを考えることは多いのですがその前段階として発注業務や在庫管理業務にしっかりと目を向けることも必要になります。毎日の営業時の商品ごとの販売数を的確に把握し発注管理を適正にして行くことが大事です。そのためにはデジタルツールなどの導入で商品販売数を客観的に把握し対策を立てていくことが第一歩となります。
お会計用のレジや券売機などデータを吸い上げ分析することのできるデジタルツールの導入をすると良いでしょう。また 商品ごとのアレルギー、カロリー表示や成分表示などお客様の健康面に考慮するために必要な情報を事前に提示することも食品ロスに対抗する手段となります
さらに一つの商品に対して3−5種類のサイズを用意し、適正な量をお客様に選んでいただくことが何よりの食品ロス対策となるはずです。
お客様の健康管理やヘルシー志向の側面からも、主に炭水化物の量の調整を考える顧客は近年非常に増えており、『大盛』の選択だけではなく、『小盛』や『少なめ』、もしくはグラム単位での選択がしたいというニーズも着実に増えています。お客様のSDGsへの意識も強くなっていることも考慮し、食品のロスを減らす意識をお店の姿勢として表現することも大切なことです。

これらの 多くの情報をお客様が分かりやすいように整理するためには、券売機やテーブルオーダーシステムなどでビジュアル的にお客様に示すことが最善の対策となります。
また、日々の営業で売り切れやメニューの一部の変更など迅速に対応できるのもデジタルツールの強みでもあります。アナログのメニューを客席に用意するのに比べて券売機やテーブルオーダーのデバイスは、情報量とそのデザイン性に圧倒的な差がでてくることになります。特に現代の人の好みや嗜好の細分化はデジタルの情報量を必要としているようです。これを機会に導入を検討してみましょう。

まとめ
食品ロスに対する対策を正確に実施することは環境に対する配慮だけでなく基本的な経営のノウハウでもあります。
・ お客様にわかりやすくメニュー内容を伝える
・ お客様が自由に料理の内容と量を決める
・ 食べ残しはテイクアウトできるようにする
3つのポイントを徹底するために、必要になるのはお客様にどう伝えるかを工夫することです。情報が必要なお客様に必要十分な情報を迅速に提供するためにデジタルツールをフル活用して、お客様が一目でわかるような表現方法を使ってみてください。現代では、必要な情報は紙数枚のメニューで伝えられるような時代ではなくなってきているのかもしれません。

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