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いま超えるべき『ラーメン1杯1000円の壁』

ラーメン一杯1000円と聞いて、『どんな材料を使ってんだ?』 『感動するほど美味いんだろうな?』と言った感想を持つ人はいまだに多いでしょう。

しかし、近年の原材料や燃料費の高騰を考えると飲食業界全体の値上げは相対的に見ても仕方ない社会情勢です。特にラーメンは屋台文化が色濃く残っている日本において、安く食べられて当たり前という概念があるため、『一杯1000円の壁』が一番厚いソウルフードになると思います。
近年ではようやく、この安すぎる日本の料理価格に注目が集まり、改めて考えさせられている飲食店経営者も少なくないはずです。
それではどのようにしてこの『一杯1000円の壁』を超えられるような施策を打つべきでしょうか。

ラーメン屋でさえも必要なブランディング
より価値のあるように見せるためのデザイン性は重要となり、これにより割高感を軽減できるでしょう。そのためには、看板、店舗デザイン、ロゴ、ユニフォームだけではなく、メニュー表や券売機でのデザイン表現が大きく寄与します。
特にオーダー前であり客席に着く前に利用する券売機での演出は、その店舗の期待感を店舗のコンセプトやこだわりを伝えるために重要な要素となってきます。
デザイン面での統一感を持たせることにより、店舗イメージを無意識に刷り込んでいき、この店の常連でいたいという所属欲求を満たすことも必要になってきます。
お店のコンセプトからおろしてきたブランディングとは、アパレルや電化製品などの一部の大手メーカーの戦略だけではなくなってくるべきです。
厳選された素材のアピールや製法のこだわりなどをSNSで発信することはもちろんのこと、店内でもあらゆるところで表現していくことでロイヤルカスタマー化を狙うことも飲食店として大きな差別化になります。

メニューの多様化による選択肢の増強
ラーメン一杯1000円以上の価格帯であれば、原材料の選択肢が広がり、トッピングをすることや自分好みの1杯にカスタマイズすることで満足感を得てもらいやすくなると考えましょう。特別なトッピングや具材を提供することで、高級感やユニークさをアピールすることも大事です。そのためには、注文前のわずかな時間に効率的にお客様に訴求することが最低条件となります。ラーメン店では、券売機で食券を購入した後にメニュー変更や追加オーダーをすることが少ないことを考えると、メニュー表示や券売機でのお客様に対するプレゼンテーションやメニュー内容のわかりやすさが生命線となります。また、その日の天気や季節ごとに表示内容を迅速に変更することでニーズに応えることも有効です。急に気温が下がったのに冷やしメニューやつけ麺がトップに表示されるようでは、無駄な提案になってしまい購買意欲が削がれることになります。地味な作業ではありますが無視できないほどの売上金額の差が出てくるでしょう。

逆説でビジネスプランする
多くの経営者が、『ラーメンは700円台で食べられるもんだ。』という顧客の概念から経営を成り立たせようと考えます。
しかし、ここ数年はこの700円台というのはそもそも無理な価格設定であることは多くの経営者が気づいていると思います。それでも顧客のニーズに応えるとなるとスタッフに労働力のキャパシティーを超えた120%の動きを要求するといったあるまじき方向に行き、700円台で利益を出すための方法を探し続けます。その結果として、自ら経営の苦しい領域を出られずにいるようです。
この考え方は一度、真逆に考えてみる必要があるでしょう。もうとうの昔にそういった時代に突入しています。
ここは改めて、『1杯1200円で満足してもらうためにはどうしたらいいか?』と考え、そのために必要な施策を打つことが経営者として必要です。

少し贅沢な昼食が求められる時代
昨年半ばまでのコロナ禍の影響で飲酒量が減り、夜の外食費用が減っている人が多いということは、昼食やお酒を飲まない食事系の飲食店のニーズは増えています。さらに夜は外食しないので昼食の予算が増えた人は増加しており、おつまみなどではなく、しっかりとした食事は今の時代求められています。
この傾向はラーメン店に大きな追い風を吹かせており、近年では2000円台のラーメンも珍しく無くなってきています。
しかし、これは単純にニーズがあるから値上げしただけではなく、2000円のラーメンには2000円分の満足感がそこに必ずあり、顧客の満足度を下げてはいません。

2000円のラーメンの付加価値
このような高級品の部類に入るラーメンは、高級素材を使用してその価格を認めさせるパターンや限定商品などで特別感を出す方法があります。また、固形燃料や食器などを使いお客様の前で保温するといったライブ感で訴える方法や御膳のようにサーブして軽食に近いイメージのラーメンを夜の食事としてゆったりと提供することで満足してもらう方法も存在します。

カスタマイズオプションの明示
メニュー表や券売機のディスプレイに、トッピング、味の好み、量、サイドオーダーなどのカスタマイズオプションを明示的に表示しましょう。これらのオプションは簡潔でわかりやすい言葉やアイコンで表示されるべきです。また、どこに何が書いてあるかがすぐにイメージでき時間をかけずに自分の欲しいオプションが見つけられることが非常に大事です。

特に券売機でのユーザーインターフェイス(画面のレイアウトやデザインなどお客様との接点)は最重要となります。体系を整えたオーダー時のフローができていないと、顧客が要求しているカスタマイズができずに諦めてしまい、ラーメンを食べる前から不満を抱えることになってしまいます。これは大きな機会損失でもあり、食事を終える前にマイナスの印象を与えているでしょう。
さらにブランディングに従った色やフォントの工夫も少なからず購買意欲に影響します。カスタマイズオプションを目立たせるために、色やフォントを工夫してディスプレイに反映させましょう。わかりやすく魅力的なデザインは注文の際に注意を引きます。

イメージや説明文の重要性
飲食店でよく軽視されるのはメニューの見出しや説明文です。一流企業であればコピーライターやライラーに頼むような商品の売り上げを左右する大きな要因ですが、そこまで注力しているお店は少ないのが現状です。特にラーメン屋のように滞在時間が短く、何ヶ月も前から予約するような飲食店でない業態では、お客様が入店してからオーダーするまでのとても短い時間がプレゼンできる貴重な時間になります。
ライターに依頼するのでないのならば、これまで以上に文章やメニューのサブタイトルを経営者自身が再考してみるべきです。

価格表示のリアルタイム更新
家族での食事やカスタマイズオプションを選択するといった品数が多いお客様にとってその合計金額はとても気になるところです。券売機やセルフオーダーで注文操作を進めていく際にはリアルタイムで合計金額が更新される仕組みを導入しましょう。お客さんは自分の選択が価格にどのように影響するかをすぐに確認できることで安心感を持てます。

まとめ
現代のラーメン業界では、1,000円以上の価格設定を超える挑戦が求められています。食材や燃料費の高騰は値上げの必要性を示し、日本のラーメン文化における低価格の常識を見直す時期が来ています。この壁を乗り越えるために、ラーメン店経営者はブランディングやデザイン、メニューの多様化、付加価値の提供、カスタマイズオプションの明示、イメージと説明文の重要性、価格表示のリアルタイム更新などの施策を採用すべきです。このような変革を通じて、高品質なラーメンを提供し、顧客満足度を向上させ、あらゆるものの価格上昇に対応する経営戦略を展開することが不可欠です。

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