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飲食店における顧客ニーズの把握と戦略の立て方

いかなるビジネスにおいても、顧客ニーズを的確に捉えているかがその成否を決めるほど重要なポイントになっています。また、近年の情報認知の高速化や情報の更新頻度の高さから、この顧客ニーズの把握もスピード感が必要になっています。
今回は飲食店において日々の経営をどのように意識して行い、顧客ニーズに応えていくかを取り上げたいと思います。

さらに進む多様化と個人主義
ここ1年でインバウンド需要の復活が顕著になってきたこともあり、飲食店においてもお客様の国籍や宗教の違いなどを含む多様性はさらに広がりを見せています。それに合わせて個々の好みに合わせたカスタマイズメニューや、摂取不可能な食材を把握した上でのメニュー開発など、顧客の多様な要求に応えていくことは、飲食店にとって最低限必要なことになっていきます。
今後、観光地を中心にハラールやビーガン、グルテンフリーなどは対応できて当然という域に達するでしょう。 そのため、飲食店としては、これまでよりもさらに1つのメニューでもバリエーションをもって選択肢を増やすことが必要になってきます。
従来までのような大盛り、少なめといったポーションの部分に加えて、ライスかカリフラワーライスが選択可能だったり、卵や小麦粉を使用しないアイテムが選べたりといった対応が見込み客の分母を増やすことにつながります。
また、割り勘や飲み放題、大規模な宴会が影を潜めていき、多くても4.5人程度での飲食が増えてきている中、以前から欧米に見られるようなグループで飲食していても一人一人が各々の好みでオーダーをし、会計まで済ます顧客が増えています。これに対応できるオーダーテイクや会計処理の体制作りも必要になっていくでしょう。さらにFR業態ではおひとり様の来店需要が増えていることに対応してカウンターで仕切りのある席が増床されているのも、現在のトレンドと言えるでしょう。

どのようにして顧客ニーズを捉えるか
まずは今現在、いらっしゃるお客様の言動に注目するべきでしょう。これは多くの経営者が自然とできていると思いますが、従業員も同じように意識を持たせることで、日々の営業からたくさんの経営のヒントを得ることができます。

メニューを選んでいる時の思考時間や悩んでいるポイントはどこなのか?
メニューブックや券売機の画面でどの位置に置かれた商品がどのくらいオーダーされているか?
どんなキャンペーンや打ち出しをした時に反応がいいのか?

現に客席で起きていること、お客様の表情にはたくさんの情報が詰まっています。これを観察し、お客様の声をしっかりと受け止めることが基本となります。
また、近年ではSNSでの投稿内容、Googleマップでの口コミ内容からも顧客ニーズを洗い出すことができます。SNSではハッシュタグが代表するように潜在顧客がどんなキーワードでお店を探しているかを知ることができ、また、貴店の比較対象となるような飲食店を簡単に知ることができます。この検証に時間を割くことは有効な戦略分析になるでしょう。そして、その投稿や口コミに書かれる顧客の感想は一つ一つ目を通してみるべき貴重な資料となります。
そして検索エンジンでのよく使われているキーワードを常に把握することは、時流やトレンドを見極める意味でも大切になってきます。貴店の料理ジャンルや業態名称の次にくるキーワードは戦略を立てる上での貴重なヒントとなります。これを調べるツールは無料のものでも多数あります。これらを活かして施策を考え、ホームページの作成時やSNSの投稿時に利用してみましょう。

まずは『顕在ニーズ』を分析する
一口に顧客ニーズといいますが、大きく分けて2つのニーズに分かれます。 一つは『顕在ニーズ』です。これはすでにお客さんが求めているもので、そのニーズに応えたサービス・商品がすでに売れている状態にあるものです。
もう一つは『潜在ニーズ』です。これは、まだ世に存在していない、もしもこんな物・サービスがあれば欲しいというニーズです。


後者の『潜在ニーズ』に応えるのは、世の中全体を見て隙間を見つけたり、創造性がとても必要な作業になりますが、そういったこともまずは『顕在ニーズ』が確実に分析されていないと手を付けることはできません。 この『顕在ニーズ』の検証は、貴店の競合他社を含む業界全体の動向を知ることも大切ですが、まずは目の前で起きている、一番把握しやすい『自分のお店で起きていること』を分析することです。

・月の中旬、第2週の金曜日、天候は晴れ、30℃を超えて暑くなってきた。
・メニューのトップはピリ辛担々麺を掲示 。
・サイドメニューの餃子とビールのセットをアピール

このような条件での売上データと条件を変更したときのデータの変化を一つ一つ検証していくことが何よりの経営分析となり『ニーズ調査』になります。
まず集中的に貴店の『顕在ニーズ』を検証するために、1時間ごとのメニューディスプレイの内容を変えて、データを取っていくといった徹底した方法を試してみることも必要でしょう。

肌感覚からの脱却
店舗の施策を考える際は、経験や直感に頼るのではなく、客観的なデータや分析に基づいた意思決定をすることで、効率を高めることが必要です。
顧客の行動や意見、打ち手に対する反応を正確に把握し、それに基づいてサービスを改善する方法を探ります。店長の感覚も大切ですが、データと感覚を照らし合わせると意外に大きなずれが出ることがあります。特にメニューのABC分析などでは、人気のあるメニューはある程度正確に把握できていても、ワースト5となると感覚は全く当てにならないことがほとんどです。また、ピークタイムの終わる時間帯も感覚とは別の結果をデータが示すことは少なくありません。この過去の実績、現状の把握が間違っていては対策も意味のないものになってしまいます。まずは正確に現状を把握するためにも、顧客のニーズが数字になって表れている全ての売上集計値を把握することが第一歩となります。

データをどう読むかを考えてみる
近年のPOSレジや券売機、オーダーシステムの進化は目を見張るものがあり、そのお店の業態に応じてカスタマイズも細部までできるようになっています。また、データの蓄積や分析も多角的にできるようになっており、これを活かすべきです。しかし、最終的にはそのデータの数値をどう解釈するかは、経営者にかかっています。 例えば、 時間帯別の平均客単価が2000円だから、もう少し高くなるように手を打ってみようと考えたとしても、

お会計金額が2000円の人が10人で20,000円
→平均客単価は2000円です。
お会計金額が3000円の人が5人と、1000円の人が5人いて、合計20,000円
→これも平均客単価2000円です。

ここで大事になってくるのは、後者の場合はお会計の金額は2000円の人は一人もいないということです。
言い換えれば、『平均』の客単価を知ったところで、顧客ニーズを知ることは難しいのです。
データを紐解かずに平均値だけで物事を判断していると、実際には存在しない顧客のニーズを追ってしまうことになります。そのためにも、データの抽出条件を吟味し、さまざまな角度で集計できるようなシステムの導入が必要です。

顧客ニーズを捉えた広告戦略を打つ
最後に、データ分析と顧客ニーズを把握した上で、広くお客様に訴求することで新規顧客の獲得とリピート客の囲い込みを実現できるようにしていきましょう。いち早く顧客ニーズに訴求するためには、SNSを中心としスピード感を持って行うことが大切です。特に近年ではLINE公式アカウントの開封率が非常に高いことから導入する飲食店が増えており、レジや券売機との連携が可能なアプリも存在します。さらにリピーターの確保をするためのWeb会員証、クーポン、ハウスポイントの運用、顧客管理などが手軽に実現できるものもあります。こういったデジタルツールを導入することで、飲食店をDX化し、新しい形にしていくべきです。自分のお店にあったツールの選定は大事なポイントになるのでよく調査し検討していきましょう。

まとめ
着実な売上アップによる利益の増大を達成するには、顧客のニーズをとらえた上で、施策を打ち、それに対する顧客のフィードバックを収集する。そして、この情報を精査して再びサービスを改善する。この基本的なサイクルを続けることが不可欠です。
また、飲食店経営においては特に労働者の確保が難しくなっていくことも考えると、DX化を進めて新しい経営の形をつくりながら顧客のニーズに応えることが、長期的な成功への鍵となります。

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