Column

厳しさ増す食品衛生規制の現状と未来
~飲食店経営者が知っておくべきポイントと対策~

1. はじめに
昨今の飲食業界では、衛生管理の重要性がかつてないほどに高まっています。新型コロナウイルス感染拡大をきっかけとした消費者の衛生意識の上昇に加え、食品衛生法の改正によってHACCP(ハサップ)に基づく衛生管理がすべての食品等事業者に義務化されました。これにより、単なる「清潔感」や「雰囲気の良さ」だけでは顧客の信頼を得ることが難しくなり、「どれだけ衛生対策をしているか」が重視され、最低限要求される基準も大きく引き上げられる時代に突入しました。飲食業界を取り巻く環境変化と衛生管理の重要性の高まりは非常に顕著になっています。飲食店にとっては、味や接客と並ぶ新たな評価軸として「安全性の可視化」という概念が加わったと言えるでしょう。今後、競争力を維持・強化するには、衛生対策をいかに戦略的に整備するかが鍵となります。

2. 背景と規制強化の必要性
食の安全と消費者の信頼を守るために当然の施策であることはわかっていますが、なぜ今、これほどまでに衛生規制が強化されているのか。その背景には、いくつかの社会的要因があります。
第一に、国内外における食品事故の多発です。異物混入やアレルゲン誤提供、食中毒事件は企業イメージに壊滅的なダメージを与え、特にSNSの拡散力によって一瞬でブランドを揺るがすリスクが常に存在しています。
次に、消費者の行動変化です。かつては価格や立地が店舗選びの主な基準でしたが、現在は「安心して食べられるか」という点も劣らず重要視され、衛生対策が不十分な店舗は、そもそも飲食を検討する選択肢から外される傾向にあります。さらに、高齢者や子どもといった免疫力の低い層の利用も増え、企業としての社会的責任が強まっています。

国の方針としても、「消費者庁の食品表示制度の厳格化」「厚労省によるHACCP義務化」「輸出拡大に伴う国際基準の導入」など、制度強化の流れは今後も加速する見通しです。つまり、衛生対策は“今だけのトレンド”ではなく、“持続的な経営基盤”として位置づける必要があります。

3. HACCPが店舗にもたらす実務的変化
制度としてのHACCP義務化により、飲食店の現場には、さまざまな実務的な変化が求められています。 まずは、工程ごとのリスク分析です。食材の受け入れから仕込み、加熱、保存、提供に至るまで、すべての工程においてどのような危害要因が潜むかを洗い出し、それに対してどんな管理措置を講じているかを文書化しなければなりません。

次に、記録の保存です。例えば、冷蔵庫の温度記録や清掃履歴、アレルゲン情報の管理状況など、定期的なチェック結果を確実に記録し、保健所による確認時に提示できる体制が求められます。

さらに、従業員への衛生教育も必須です。「ルールとして書いてある」だけでは不十分で、スタッフ一人ひとりが内容を理解し、実際の行動に落とし込めていることが前提となります。必ずゴム手袋をしてから作業にあたるようにという指示が徹底されていても、そのゴム手袋をした手で食材を触り、帽子を触り、釣り銭を触っているスタッフがいるようでは、手袋をするという衛生管理の施策自体がまるで意味を成しません。手袋さえしてればいい、マスクをしていれば大丈夫といった表面上の衛生対策ではなく、『実際に意味のある行動がとれているか?』という点にこそ、衛生管理の焦点が置かれているのです。

このように、衛生管理は“マニュアルを持っているだけ”ではなく、マニュアル通りに実行でき、記録として残っているかまでが問われるフェーズに突入しているのです。

4. 食品表示規制の強化とその影響
食品衛生と密接に関わるのが、食品表示の問題です。アレルゲンの表示義務や添加物・原産地の明示など、消費者に正確な情報を伝える責任が、ますます重くなっています。特にアレルゲン表示に関しては、知らずに口にしてしまったことによる健康被害のリスクが非常に大きく、適切な表示がされていないだけで法的責任を問われる可能性もあります。実際に、多言語対応を導入し、外国人観光客向けにアレルゲン情報を丁寧に表示したことで、インバウンド需要の獲得に成功している飲食店もあります。表示制度を『リスク回避』だけでなく『価値提供の武器』として捉えることが重要です。

また、国産食材の使用や無添加調理といった強みを積極的に開示することで、他店との差別化にもつながります。正確で信頼性のある情報を常に発信する姿勢こそが、これからの飲食店のブランド形成に不可欠な要素と言えるでしょう。

5. 経営者が直面する課題とその現実的対策
衛生管理を強化しようとすると、多くの飲食店経営者が「記録の煩雑さ」「教育の手間」「設備投資の重さ」に直面します。特に小規模店舗では、オーナー自らが記録業務を担うことも珍しくなく、本来のサービス提供に支障が出るケースもあります。

こうした負担に対しては、「すべての衛生管理業務を特別に時間を割いてやる」のではなく、「簡略化しても確実に続けられる仕組みをつくる」ことが現実的な対策です。

たとえば、チェック項目のテンプレート化や、作業内容を簡潔なピクトグラムで示したマニュアルを使えば、教育コストを大きく下げることができます。また、簡易的なデジタル記録ツールや、スマホで完結するアプリを活用すれば、記録作業の時間も最小限に抑えられます。

特に最近では、「注文・売上データ」などの店舗運営情報を一元管理するセルフオーダー端末が登場し、衛生管理にも役立ち、さらに業務効率化を同時に実現できる流れが加速しています。

6. デジタル活用による衛生管理の効率化
飲食店の業務をサポートしてくれるデジタルツールが近年、とても進化し、様々なサービスがリリースされています。これを活用し、衛生管理をはじめとする日々の店舗運営に、積極的にデジタルツールを導入していく姿勢が重要です。

特に近年は人材不足が深刻化しており、こうした課題の解決もデジタル化が担う役割の一つです。そうした飲食店の課題解決をサポートするのが、日本カード株式会社が提供する「smooder(スムーダー)」です。smooderは、単なるタッチパネル式券売機ではなく、衛生対策・売上管理・接客効率を一体化した、革新的な店舗経営支援ツールです。

● 注文・売上データの分析で、食材の使用量と消費傾向を“見える化”
smooderは、日々の注文データをリアルタイムで記録・蓄積します。これにより、「このメニューにどれだけの材料がどのくらい使われているか」を予測しやすくし、「どの時間帯に何が多く出るか」が一目でわかるようになり、仕入れや在庫管理の精度が飛躍的に高まります。

● アレルゲン表示機能で、説明ミスによる事故を防ぐ
タッチパネル上のメニューには、主要アレルゲンや原材料を表示でき、顧客自身が安心して選べる設計です。

● オーダーテイクや会計業務周りでの徹底的な非接触作業
smooderは、迅速なオーダーテイクと事前会計を進めることができ、非接触型の決済方法も導入できることからお客様と従業員との直接的な接触を最低限に抑え、感染症拡大に対する防止策としても有効です。そのため、衛生管理の向上にも貢献します。

7. 衛生管理は負担ではなく「信頼構築の武器」
これからの時代、衛生対策は“守り”の姿勢ではなく、“攻め”の戦略として捉える必要があります。法規制はさらに厳しくなり、管理の実効性とその裏付けがますます重視されるようになるでしょう。そのなかで、デジタルツールによって効率化を図り、かつ安心を可視化できる店舗こそが、消費者の信頼と支持を獲得していきます。

「smooder」の導入は、衛生管理の強化だけでなく、業務の省力化、スタッフの負担軽減、店舗ブランドの強化といった多面的な価値をもたらします。
これからの飲食店にとって必要なのは、“ルールを守る店”から、“信頼される店”への進化です。

今、この時代の流れにのって、衛生管理の見直し、業務効率化、アレルゲン対応、セルフオーダー端末の導入など、店舗運営全般を見直してみるべきでしょう。

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