「まだ現金だけ?」その常識、損しています!飲食店がキャッシュレス化で手に入れる未来
1.なぜ今、キャッシュレス決済を考えるべきなのか?
「ウチは現金だけで十分やってきた」「カードやQRの手数料を払うぐらいなら、現金だけの方がいい」。こう考える経営者は、今でも少なくありません。しかし、その考えの裏側で、日々の営業中にこんな経験が増えてきていないでしょうか?
- 店頭まで来て『カード使える?』と確認し、使えないことがわかると何も言わず去っていくお客様がいる。
- 外国人観光客がカードを差し出したのに「現金のみ」と答え、そのお客様が日本円の引き出しに行くことになった。
- 釣銭が足りず、慌てて近くの銀行や両替機まで走った。
これらは、お分かりの通りすべて、キャッシュレス未導入による機会損失や業務ロス、顧客満足度低下の典型です。
アルバイトスタッフにさっと両替してもらえば良いという考えで、どうにかやりくりしていた経営者も、年々上がっていく時給を考えると、その微々たる15分間が塵も積もって大きな経費の負担となっていることでしょう。
しかも時代の流れは確実に変わっています。経済産業省の発表によると、2024年の日本のキャッシュレス決済比率は42.8%。政府は「2025年までに4割」を目標としていましたが、1年前倒しで達成しました。さらに内訳を見ると、クレジットカードが約83%を占め、コード決済(QRなど)が約9.6%、電子マネーが約6.4%と、ここ数年でQRコード決済が急伸しています。これはスマホ1台で全て完結できる手軽さが背景にあります。つまり「日本は現金主義」という常識は、確実に崩れつつあるのです。そして飲食業界は、その変化の影響を最も受けやすい業種のひとつです。
2.キャッシュレス決済がもたらす「3つの革命」
【革命1】顧客体験の向上と集客力の劇的アップ
キャッシュレス化は、単に会計手段を増やすだけではありません。 お客様の飲食体験そのものを大きく変えます。
- 会計がスムーズになり、滞在満足度が上がる
現金での支払いは、お客様が財布を探し、小銭を数え、店員が確認して釣り銭を渡すという流れです。わずか数十秒の作業でも、行列時や混雑時には大きなストレスとなります。また特にランチタイムでは財布を持たずに移動する人が急増しており、スマホ決済を大前提としているサラリーマンやOLが大勢を占めています。特に昼のピークタイムでは、会社員は、決められたお昼休みの短い時間を満喫するために神経質になっている時間帯でもあります。これを潤滑に決済できることで、顧客の満足度は大きく変わるでしょう。 - 外国人観光客の取り込み
インバウンド需要が回復する中で、「現金のみ」のお店は、確実に機会損失を生みます。海外ではキャッシュレスが当たり前のため、現金払いを求められると購買意欲が低下する傾向があります。本気で『今どき現金かよ。』と思っている外国人旅行者が大勢いることを認識してください。また、日本円のコインと紙幣になじみがない外国人にとっては、貨幣の分別をする必要がないことは、非常に大きなメリットでもあります。 - 「現金足りない…」による取りこぼしゼロへ
たまたま手持ちがなかったといった現金不足による注文制限や購入断念がなくなります。これが売上アップに直結します。さらに基本的には現金は持たないと決めている人も年々増加しており、外で食事をするときは、キャッシュレス決済でなければいかないと決めている顧客もいるということを認識しておくべきです。
【革命2】驚きの業務効率化とコスト削減効果
キャッシュレス導入の真の強みは、業務の効率化です。これによるコストの削減は想像よりも多岐に及んでいます。
- レジ締め時間の短縮
キャッシュレス化により、レジ精算時間が1時間→30分になる事例は多く、削減できた30分を人件費換算すると月2万円以上の削減効果があります。
これにより経営者や店舗責任者が他のスタッフのサポートに回ることができ、十分な業務チェックや必要なコミュニケーションに時間をかけることができることは、店舗経営において大きな強みとなるでしょう。また、その時間分、アルバイトの勤務時間をカットすることも可能で、ダイレクトに人件費の削減となります。
また、『閉店間際は、店長はずっとお金を計算しているから、しょうがない。』といった変なお店の慣例をなくすことは、意外にもスタッフのモチベーションに影響を及ぼすでしょう。 - 釣り銭間違い・現金管理の負担減
合計金額の確認や釣銭間違いによる再計算が不要になります。このストレスの軽減はスタッフの定着率向上にもつながります。またキャッシュレスの比率を増やすことで、両替の頻度が低下し、銀行への往復の時間と待ち時間を減らすことが可能です。また、盗難防止に対する打ち手も、金銭が増えれば増えるほど、現金の持ち歩きが多いほど必要となってきます。 - 衛生面の向上
現金は多くのひとの手を経由するため、衛生リスクがあります。特に飲食業では、現金を扱った後の手洗いが必須ですが、その手間も削減できます。特にコロナ禍以降、世間の目が一段と厳しくなったという点も考慮し、できるだけ現金という接触媒体を減らすことも重要な課題です。
【革命3】隠れた売上アップの秘密
キャッシュレス決済には心理的効果があります。この点にも注目し、一度整理しておくべきでしょう。
- 客単価の上昇
お客様は現金よりも「支払う痛み」を感じにくく、追加注文や高単価メニューの選択率が上がる傾向があります。 - 衝動買いの促進
デザートやドリンクなど「ついで買い」を後押ししやすくなります。料理においてもトッピングや小鉢の追加などで効果が出ることがよくあります。 - テイクアウト需要との相性
QR決済などは持ち帰り注文とも相性が良く、スムーズな受け渡しを実現します。キャッシュレス化により、事前の注文と事前決済により、持ち帰りの際は、待ち時間を実質0にすることが可能です。また接触機会もゼロに等しい状態になることから、コロナ禍から重宝しています。こういった点で、テイクアウトがしやすい店として認知してもらえることで売上の増大が狙えます。
3.「落とし穴」を回避!導入前に知っておくべきデメリットと賢い対策
【デメリット1】初期費用 と ランニングコスト
- キャッシュレス決済では、金額の大小はありますが、必ず初期費用もしくはランニングコストがかかります。決済端末の購入費用や月額料金もしくは、売上に応じた手数料が発生し、これが毎月の経費として必要となってきます。
対策:複数サービスを十分に比較した上で、キャンペーンの利用、自治体の補助金活用をすることを検討しましょう。また、初期費用や手数料率は交渉次第で下げられる場合もあります。 また手数料がある程度膨らむ予測があったとしても、その分両替の手間やレジでの会計処理が簡易になることで、十分にその手数料分の人件費を浮かすことが可能なケースも多くあります。 一度しっかりと収支をシミュレーションし計算した上で判断するべきでしょう。
【デメリット2】システムトラブル・通信障害
- 通信環境が不安定になったり、遮断されたりすることにより、キャッシュレスの決済端末が使えないと営業に支障が出ます。
対策:モバイルルーターの常備、現金決済の併用、緊急時マニュアルの整備し、その際の対応をシミュレーションすることが大事です。
【デメリット3】入金サイクルの遅延
- この10年で入金サイクルは大幅に短縮されていますが、決済会社によっては、キャッシュレス売上は、翌日でも入金されないことがあります。
対策:入金周期の早いサービス選択することも、第一の対策となりますが、運転資金計画への組み込みをし、ゆとりを持った経営をすることが大事です。
【デメリット4】現金派への対応
- しかしながら、こういった時代においても、現金のみの顧客もまだ一定数います。
対策:この一部の人のために、現金取引をゼロにはしないというのは、これまでの常識でした。しかし、あと数年を待たずに、これだけ現金のみの顧客が少ないのならば、ある程度の覚悟をして、完全にキャッシュレス化をしたほうが経費はかからないと判断するような時代になるでしょう。 今のうちから段階的にキャッシュレスを導入し、経営者として、社会全体で将来的な完全キャッシュレスを目指すリーダーとしての気構えをもってほしいと考えます。
4.成功へのロードマップ
- 業態と客層に合わせ最適な決済手段を選定
- 複数決済会社を検討して選択肢を拡大
- 契約条件・手数料・入金サイクルを精査
- スタッフ教育とトラブル時の対応準備
- 導入後は売上データを分析し改善
- 浮いた人件費を店舗の強化につながる分野に再配分する
このような流れで進めることで効果を最大化することができます。
5.まとめ
キャッシュレス化は単なる決済手段の追加ではなく、「顧客満足度の向上」×「業務効率化」×「売上アップ」の三位一体効果をもたらす、経営戦略そのものです。現金だけに頼る経営は、すでに「もったいない時代」に突入しています。まずは一歩踏み出し、自店の未来をキャッシュレスとともに切り拓きましょう。
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